小さな町の日本一の広報誌

皆さんは埼玉県にある三芳町をご存知でしょうか。三芳町とは、首都圏30㎞に位置し、埼玉県入間郡の南部、武蔵野台地の北東部にあたり、東に志木市・富士見市、南東に新座市、南西に所沢市、北にふじみ野市・川越市と隣接しています。

人口は3万8千人前後の小さな町です。

この三芳町で日本一と言われているのが自治体広報誌「広報みよし」です。

この広報誌の担当者は、2011年に庁内の公募に立候補し町長に対し「日本一の広報誌を作ります」と宣言したそうです。すごいですね。

ご本人は、広報誌が読まれないまま捨てられているのを見て、何とかしなければと思い立候補したそうです。

その後は印刷以外の行程をすべて一人で担当され、もともと1千万円を超える経費がかかっていたものを半分程まで圧縮し、5年目で全国広報コンクール最高賞である内閣総理大臣賞を受賞しています。文字通り日本一の広報誌を作り上げたのです。

ご本人曰く、「特に若い世代にどうやったら手に取ってもらえるかを考えて」取り組んでいるそうです。その一手として「広報みよし」ではARを導入しました。誌面の中のARに対応した写真にかざすと動画が起動する仕組みです。動画にはURLが張り付けてあって、動画をタップするとイベントの申し込みフォームに飛ぶようなクロスメディア化も行っています。

そして、3年前の2015年からは更なる認知度向上を目指し広報誌の電子配信も行っています。この電子配信に合わせユニバーサル多言語対応を取り入れました。紙の広報誌データから日本語のテキスト情報を抽出して、自動翻訳エンジンと連携し7言語のデジタルブックを作ったのです。

この電子配信の特徴はコストの安さと情報の拡散力です。多言語で広報誌を作成するとなると多大な費用がかかり配布も大変です。しかし、この方法で多言語化した場合、コストはかなり抑えられます。そして電子化した情報は興味があれば世界中どこにいても手に取ることができたのです。

「広報みよし」は低コストでユニバーサル多言語デジタル化し、日本を超えて世界に三芳町の情報を届けることを狙いました。当時、自治体広報誌の多言語化は日本初で多くのメディアに取り上げられましたし、海外からの閲覧数も増えて狙い通りの結果となったのです。

また、多言語対応の自動読み上げ機能も、視覚障がいを持つ人に町の情報を知ってもらえることにつながっているそうです。

更にもう一つの仕掛として…

三芳町では元モーニング娘の吉澤ひとみさんが広報大使を務めていました(現在は埼玉県出身でハロー! プロジェクトのグループ「Juice=Juice」のサブリーダーの金澤朋子さん)。「広報みよし」の中でも吉澤ひとみさんとの様々なコラボレーション企画を展開しました。この結果、電子配信で「広報みよし」を読んだ人々から「実物も欲しい」ということで広報誌の取り寄せの依頼が増えたほか、フェイスブックページで外国人からのコメントと「いいね!」が増えたという効果もあったそうです。

「広報みよし」の発行部数は23年度で1万5400部・28年度で1万6000部だそうです。一般的に小規模な地方都市における広報誌の部数の推移というものがわかりませんが、部数の伸び以上に電子配信によって部数に捉われずに情報を届けられているのだと思います。

皆さんも興味があればぜひ一度「広報みよし」を読んでみてください。三芳市のHPからリンクされています。ご覧いただくと、私たちがよく目にする自治体広報誌とはかなり異なった印象だと思います。まず表紙のインパクトが違います。中身のデザインも若者からお年寄りまでを意識したデザインで組み上げてあります。そして何よりも、「楽しんで作っている」ことが伝わってきますし「読んでもらいたい」という制作者の想いが伝わります。一般的な自治体広報誌では弱い部分ですね。

自分たちの町をPRしたいという熱意が、この「広報みよし」には表れています。日本一の広報誌と評価される事がうなずけます。