浜松市が取り組むユニバーサルデザイン

浜松市におけるユニバーサルデザインへの取り組みは全国的に見ても長い歴史があります。誰もが安全で快適に暮らすことができるまちづくりを目指して、今から18年前の平成12年から市の施策として取り入れてきています。そしてその3年後の平成15年には全国初となるユニバーサルデザイン条例が施行されています。
その後平成24年には第2次浜松市ユニバーサルデザイン計画・第1期推進計画(~28年度)が策定され、ユニバーサルデザインの定着・実践に向けた施策が展開されてきました。
さて、この4年間で浜松のユニバーサルデザインはどれだけ定着したでしょうか。少し古いデータですが市の資料を拝見すると、

■ユニバーサルデザインの認知度・・・4.7pt増
■ユニバーサルデザインの理解度・・・2.2pt増
■思いやりの行動をする人が増えてきたと感じる人の割合・・・5.6pt減
■公共施設が利用しやすい・・・1.4pt増
■民間施設が利用しやすい・・・4.7pt増
■防災・防犯の面で安全安心に暮らせる地域と感じる割合・・・12.7pt減

という結果が出ていたようです(第1期推進計画終了時)。もともとの母数がわかりませんので何とも言えないのですが、4年間の成果としては残念ながら少々物足りない気もします。認知度にしても90%が94.7%に増えた場合と20%が24.7%に増えたのでは全く意味合いが異なります。
なぜこのようなネガティブなことを書くかというと、私も仕事でユニバーサルデザインの講演や紹介をしている中で、「皆さん意外と知らないんだな」と感じるケースがかなりあるのです。私は昨年までは東京で同様の仕事をしていましたが、東京都をはじめ全国の地方都市でもユニバーサルデザインに熱心に取り組まれる自治体が急速に増えてきていました。その感覚で今年になって活動拠点を浜松に移したところ、「あれっ?」って違和感を感じてしまうのです。全国に先駆けて取り組まれた浜松市だと期待していたのに・・・。
つい先日もヘルプマークの認知度についてFacebook上で議論になっていたことがありました。ヘルプマークのように、障がい者に関係するマークについてもまだまだ浸透していないのが実体のようです。

さて今後ですが、製品や施設のユニバーサルデザインについては勝手に進化していくでしょう。これはある種当たり前のことで、メーカーはユニバーサルデザインに配慮した製品開発をすれば「売れる」からです。UD製品と企業業績は商業的に成立する相関関係ですので、ますます便利な製品や施設環境が整っていくことは間違いがありません。個々の製品・施設についてはメーカーや業界が取り組んでいきます。
そうなると、課題として残るのは市民サービスや人々の心のユニバーサルデザインです。誰もが安全で快適に暮らすことができるまちづくりを目指すには、今までよりもはるかに強力な情報発信が必要でしょう。ユニバーサルデザインを一時のブームで終わらせないためにも、浜松市はもっと情報を発信し続ける必要がありますし市民サービスの改善も見える化する必要があります。「100回同じことを言ってやっと相手に伝わる」という言葉もありますが、愚直に伝え続けることで市民の皆さんの意識への浸透が進むのかと思います。そういう点では今までの情報発信は結果的に弱かったといえるかもしれませんし、工夫も足りなかったのかもしれません。

多くの皆さんは健常者でしょうから日々の暮らしで困ることは少ないかもしれません。しかし、ユニバーサルデザインとは「すべての人が障がいを持つ(一時的にも将来的にも)」という前提に基づいています。今は健康であってもある日突然ケガをしたり病気になることはあります。病気ではなくても人間は必ず老いていきます。若い人と老人では運動機能や視覚・聴覚機能も全く異なります。すべての人が快適に過ごせる社会の実現って他人ごとではないのです。

浜松に暮らすものとして、浜松市には全国的にも先進的なユニバーサルデザイン都市になっていただきたいものです。そして私も微力ながらユニバーサルデザインの普及・促進・浸透に努めてまいりたいと考えます。

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