ユニバーサルデザインの勘違い

以前にもどこかのブログで書いたかもしれませんが、大事なことだと思うので今一度。

ユニバーサルデザイン(以下UD)については様々な関係機関や関係部署が推進活動をしています。特に、生活者に対してUDの認知を図るための啓蒙活動は、草の根的にも非常に重要度の高い取り組みだと共感しています。

しかしあえて一言。

UDの意識が低い人・UDというものになじみのない人(例えば子供とか)にUDを感じてもらうには「これがUD製品だよ。以前のものと違ってこんな配慮がされているよ」などと言ってUD製品を見せてもさほど効果はないと思うのです。あるいは街中を歩いて点字ブロックや案内板のピクトグラムを見せて「こういうとこもUDだよ」というのも同様です。

モノのUDには完成形がありません。そして何より、UDというのは自分自身が「便利になった」「使いやすくなった」「楽になった」と感じることではじめて評価されるものです。ですから、人から押し付けられてUDを感じるということはあまりないはずなのです。この手法(UD製品の紹介)というのは、誤解を恐れずに言うと”単なる便利な製品紹介”でしかないのです。メーカーがユーザービリティを追求して製品開発をしている以上、新製品と呼ばれるものの多くがUD配慮されています。生活者はUDを意識することなくUDを体感できているのです。UD製品を紹介する手法というのはUDの導入期・普及期には良いと思いますが、ある意味成熟期(メーカー先行型ですが)と言える現代においては”手法として勘違い”ではないかと感じるのです。

では、生活者に対してどういう手法で認知向上を図るのがいいのでしょう。一言で言うと、それは便利なものを紹介するのではなく「不便なところ」を自覚してもらうのが最適だと思っています。

日頃何気なく生活している自分たちの環境の中で、不便・面倒・不快・困り事などを感じる部分はなかったかを今一度見つめ直してもらうのです。当たり前・しょうがない、などと思って顕在的には不便さを感じていなかったかもしれませんが、そこを掘り下げてあえて意識してもらうことが「身近にUDに触れる」ことにつながるのです。

UDというのは”マイナスを潰すこと”です。より多くの人たちがマイナスに関心を持つようにならないことにはユニバーサル社会の実現につながりません。