先日閣議決定された令和4年度第二次補正予算案をもとに、令和5年度は主要補助金制度がどうなるのか簡単にまとめてみました。
結論から言いますと、詳細な中身は別として事業構築補助金・ものづくり補助金・ID導入補助金・小規模事業者持続化補助金といった主要な補助事業は令和5年度も実施されます。
事業再構築補助金には5,800億円、生産性革命推進事業(ものづくり・IT・持続化など)には2,000億円(国庫債務負担含め総額 4,000億円)の予算が計上されています。
そして、基本的な政策の在り方は以下の通りですので、それぞれの補助金もこの方針にフォーカスした内容のものになっていくと思われます。
- 新型コロナの長期化、円安、原燃料高騰により経営環境が厳しい中小企業・小規模事業者等に対する資金繰り支援や価格転嫁対策等に万全を期す。
- 「成長志向の中小企業・小規模事業者」の創出に向け、挑戦・自己変革を後押しするための予算・税等の政策措置を総動員する。また、自治体と連携した、地域経済を牽引し、地域課題を解決する企業の取組を加速化する。
個人的な印象ですが、物価高騰対策・インボイス対応・賃上げ、このあたりが令和5年度の重点施策なのかという気がしています。
では主要な補助金について主に小規模事業者の視点でみてみます。
《事業再構築補助金》
この補助金はかなりの大型補助金で、ターゲット(申請事業者)も中小企業から中堅企業クラスを狙っています。しかし、小規模事業者・個人事業主が使えないかというと決してそのようなことはありません。小規模事業者・個人事業主が狙える枠としては「物価高騰対策・回復再生応援枠」と「最低賃金枠」があります。それぞれの補助率と補助上限額は以下の通りです。
枠 | 補助率 | 補助上限額 |
物価高騰対策・回復再生応援枠 | 3/4(一部2/3) | 最大3,000万円 |
最低賃金枠 | 3/4(中小)2/3(中堅) | 最大1,500万円 |
この2つの枠は他の枠に比べ補助上限額は少ないですが補助率は高く設定されています。
物価高騰対策・回復再生応援枠は現行の回復・再生応援枠に代わるものになりますが、現行の補助上限額は1,500万円であるのに対し令和5年度は3,000万円にアップされます。
ちなみに「最低賃金枠」とは最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者を手厚く支援するための枠であって、「賃上げ要件」とは異なります。
この2つの枠はいずれも業況が厳しい事業者向けの支援策ですので、おそらく「売上減少要件」(任意の期間の売上が比較期間の売上より一定の率減少していなければならい)が課せられるものと思われます。
しかし、なんといってもこの2つの枠の補助率3/4は本当に魅力です。小規模事業者・個人事業主も大いに活用を検討するべきだと思います。
《ものづくり補助金》
(令和4年度のものづくり補助金は12/22締切の13次募集が最後となります)
ものづくり補助金とは革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資を支援する補助金です。この補助金ですが、広告宣伝費が対象経費から外されたのは少々残念です。
通常枠の補助率は1/2で補助上限額は最大1,250万円です。
令和5年度のこの補助金の特徴は温室効果ガス排出削減(省エネ)に力を入れていることで、「グリーン枠」がだいぶ拡充されています。また、賃上げにも熱心で、大幅賃上げをすれば補助上限を引き上げる施策も盛り込まれています。
《小規模事業者持続化補助金》
持続化補助金は小規模事業者・個人事業主をターゲットにしているだけあり「インボイス対応」がポイントになっています。免税事業者がインボイス発行事業者に転換する場合は補助金額を一律50万円上乗せする施策です。
持続化補助金については大きな変更なないものと予想していますが、郵送でのアナログ申請がいつまで続くかは少々不安です。
以上ざっくりですが、来年度も主要な補助事業は(要件を変えるにしても)継続されます。来年度はインボイス対応が一つのキーワードでもあります。さらに物価高騰がしばらく続けば、体力がない小規模事業者や個人事業主の経営環境は一層厳しくなるでしょう。
小規模企業・個人事業主が元気でなければ日本経済の下支えはできません。
「補助金なんて使ったことがない」という経営者の方も、現状打破の手段として改めて補助金活用を検討されてみてはいかがでしょうか。