補助金申請を第三者に任せてはいけません

補助金の電子申請での注意点(代理申請はいけません)

前回(第10回公募)で申請時の問題点として指摘された『代理申請』ですが、今回もかなりの数の”代理申請らしき申請”が確認されているようです。
改めておさらいですが、『代理申請』とは補助金を申請する事業者本人が電子申請するのではなく、他者(と疑われる)の端末から電子申請をおこなっている事例を指します。なぜこのようなことが疑われるかについてですが、恐らく次に示すような経緯によるものと推察しています。

  1. 事業者本人が作成したのではないと思われる事業計画書が散見された
  2. その確認のため電子申請時にどのパソコン(端末)から申請されているかをチェックした(アクセス解析)
  3. 同じIPアドレスを持つパソコンから複数の事業者の電子申請が行われている事例が見つかった
  4. 該当する申請者と認定支援機関等の紐付けによって、認定支援機関等が申請者に代わり電子申請しているとの疑義が生じた(代理申請)

補助金の申請プロセスは、事業計画の立案から申請作業に至るまで事業者本人が自ら考え・取り纏め・申請を行うのが大前提です。自分の会社の事業計画ですから当たり前だとも言えます。しかしこれら一連のプロセスを(補助金獲得のために)社外の第三者に任せてしまうことを行政機関は問題視しています。
このことは、補助金獲得そのものが認定支援機関等のビジネスモデルになっていることも原因としてあります。申請者本人に代わり代理で事業計画を作成し申請まで行う、この一連の流れをビジネスとして成立させ申請者から成功報酬を得る、申請者は多くの手間もなく補助金を獲得できる、これが認定支援機関等の補助金獲得代行事業者のビジネスモデルです。
認定支援機関等の補助金獲得代行事業者は複数の事業者を顧客として抱え補助金獲得のビジネス展開をしますので、結果として認定支援機関等の補助金獲得代行事業者の任意のパソコンから複数の事業者の電子申請を行う事象が発生します。
1台のパソコンから複数の事業者の電子申請が申請されたこと、これが『代理申請』だと事務局は指摘しています。

なぜ代理申請はいけないのか

ではなぜ代理申請がはいけないのでしょうか。
申請事業者によっては「会社にパソコンがないから認定支援機関等のパソコンを借りて申請した」「申請作業に手違いがあってはいけないから認定支援機関等に出向いてサポートを受けながら申請をした」というケースもあるかと思います。恐らくですが、代理申請そのものを問題視するというよりも”代理申請以前のプロセス(計画策定)も代理で請け負っているのではないか”と疑念を持たれるためだったと思われます。そのことは事業計画書を読めばある程度判断も可能です。
その結果、代理申請には重いペナルティが課せられることになりました。
(以下、事務局のお知らせより引用。2023年9月21日付)

第10回公募の申請案件について、アクセス解析の結果、特定の認定支援機関(大阪府)の支援先において代理申請が疑われる申請が確認されました。該当する申請は公募要領違反として、審査対象外としております。
各回の公募要領に記載があるとおり、本補助金は事業計画書を事業者自身にて作成、申請していただく必要があります。
代理申請が行われている場合は公募要領に反する行為として採択取消、又は交付決定取消になり、以後の公募への申請も受け付けない可能性があります。
過去の公募回を含め、自身で事業計画書を作成、申請していないという事業者につきましては、事務局まで申し出てください。申し出のあった事業者は、以後の申請受付について配慮させていただきます。

代理申請がまだ行われている

上記の通り、前回(第10回)の公募で代理申請の問題が指摘されたにもかかわらず、今回(第11回)の公募でも代理申請の事例が指摘されています。
(以下、事務局のお知らせより引用。2023年12月15日付)

公募要領に記載があるとおり、本補助金は事業計画書を事業者自身にて作成、申請していただく必要があり、代理申請については公募要領に反する行為として採択取消等の対応をさせていただく恐れがあります。
第11回公募の申請案件についてアクセス解析を行った結果、複数の案件が同一端末を用いて申請されている可能性があることが判明しました。該当する事業者様には個別にメールを差し上げご事情を伺いますので、どのような状況で申請を行ったのか、メールへのご返信を以て確認させていただきます。
採否につきましてはご返信の内容を踏まえ、公募要領に記載があるとおり外部有識者からなる審査委員会が評価し決定いたします。
ご返信いただいたメールの内容次第で即座に採否を決めるものではございませんので、予めご認識おきください。

なぜ今回も代理申請が行われたのでしょうか。これは私見ですが、認定支援機関等によっては事務局から発信される情報を見ていなかったことで代理申請が問題視されていることを”知らななかった”ケースもあったのでしょう(だとするとお粗末ですが)。または知っていても”自分のところは大丈夫”という過信でしょうか。
しかし代理申請によって公募要項違反と認定されてしまいますと申請者自身の大きな損失です。今後補助金申請ができなくなったり、場合によっては違反者として会社名を公表されてしまうリスクも考えなければなりません。そのような場合認定支援機関等の責任も重大です。
「認知支援機関等に任せていたから知らなかった。僕は悪くない」は通用しないのです。そもそも「認定支援機関等に一任する」こと自体が違反なのですから。

補助金申請サポートは事業者選びをよく考えて

行政による補助金予算の拡大によって認定支援機関等の『補助金獲得支援ビジネス』がビジネスモデルとして確立したことは間違いのない事実だと思います。成功報酬による収益獲得を目指し、補助金獲得支援ビジネス事業者は増加し過度な競争を生んでいます。高い採択率を謳い高額な成功報酬を要求する代行業者も問題視されています。効率よく採択率を高め報酬額を増やすには事業計画の作成から全てを代行し採択後の手続きまで丸抱えで代行するのが一番です。
それらの行き過ぎた結果が今回の代理申請問題だと思っています。
さて、かく言う弊社も「補助金獲得支援事業者」の端くれです。「お前のとこも同じ穴の狢だろう」と言われるかもしれません。
しかし、弊社のスタンスは一貫して『伴走者』です。依頼者(補助金申請を考えている事業者)の伴走支援を行うことが弊社の役割です。そしてこの伴走支援に『効率』は求めていません。依頼者が社内で事業計画立案会議を行う場に同席させていただき助言やサポートをし、計画書に取りまとめる際のアドバイスを行うことが弊社の役割だと考え実践しております。弊社の存在価値は、依頼者が取りまとめた事業計画に”補助金申請用のエッセンス”を助言し計画書を補助金申請用にブラッシュアップすることにあります。また、電子申請時に依頼者の会社へ出向き申請手続きに立ち会うこともあります。
とても効率性とは程遠く、そのため多くの依頼をお請けすることも致しておりません。
あくまでも事業計画作りは依頼者自身が行うものであり、最も大事なことは依頼者自身が納得できる計画を立案することにあります。補助金申請はその次の作業です。

ブログの最後が手前味噌な話題になってしまいましたが、ご不明な点やご相談等ございましたらお気軽にお問い合わせ願います。以前に申請して不採択だった案件のアドバイス等も行なっております。

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