大幅に変更された事業再構築補助金

昨今の補助金ブームのけん引役と言えると思われる『事業再構築補助金』、一昨年に始まりましたが2023年度も継続されます。

この事業再構築補助金ですが、この2年間で申請枠や申請要件・補助対象など適宜内容変更されてきましたが、大枠では「思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等を支援する」というものでした。そして昨年は「新型コロナ感染症の影響」による経済環境の悪化を受けつつも(売上減少要件など)、ポストコロナ・ウイズコロナ時代の社会環境の変化に対応するための思い切った事業再構築に挑戦する中小企業者等の支援に力点が置かれていました。そのため昨年までの事業再構築補助金では「非接触」「非対面」「キャッシュレス」「テレワーク」「EC」などがビジネスモデルのキーワードとなり、更には「原油高」「資機材高騰」に起因する事業再構築が求められました。

では2023年度はどうでしょうか。一言で言いますと2023年度(第10回公募以降)はさらに大きく中身が変わっていきます。

まず申請枠がだいぶ変わります。これまでは売上が減少している企業への支援の色合いが濃かったのですが、2023年度は「賃上げを積極的に行う企業に対する支援」にシフトしているように見受けられます。このためほとんどの枠で売上減少要件が撤廃されています。そして賃上げに対しては大規模なインセンティブが設けられています。この「賃上げ」というワードが2023年度事業再構築補助金の狙いだと言っていいかと思えます。

以下に新設された枠の主だったところだけ記します。

「成長枠の新設
これまでの「通常枠」が廃止され「成長枠」に代わりました。成長枠とは成長分野への大胆な事業再構築に取り組む事業者向けの枠です。では成長分野とは?成長分野とは市場規模が10%以上拡大する業種・業態を指し、この分野へ業種業態を転換する事業者を支援する枠が「成長枠」です。市場規模が10%以上拡大する業種・業態については3月13日に事務局からリストが公表されています。このリストに載っている業種・業態への転換が成長枠の前提条件となります。

「物価高騰対策・回復再生応援枠」の新設
これまでの「回復再生応援枠」「緊急対策枠」が統合され「物価高騰対策・回復再生応援枠」が新設されました。この枠が「業績が厳しい事業者」向け支援の枠といえます。この枠は補助率も高く狙い目の枠といえますが、申請要件は「2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が2019〜2021年と比較して10%以上減少している」必要があります。

「物価高騰対策・回復再生応援枠」の補助金額の一例をあげますと、従業員5人以下の事業者の場合、補助上限額は1000万円、補助率は2/3(ただし400万円までは3/4)と、かなり手厚い支援になっています。

そのほかにも「サプライチェーン強靭化枠」が新設されたり「グリーン成長枠」が拡充されたりありますが、大部分の事業者は「成長枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」での申請になるかと思いますのでここでは割愛いたします。

以上のように、2023年度の事業再構築補助金は「賃金引上げインセンティブ」を目玉施策として成長分野へのシフトを促進することが狙いにあるようです。このため、昨年までは「売上減少要件」がネックになって申請要件を満たさなかった事業者も、今年度の事業再構築補助金では申請可能になるケースが多いのではないかと思います。その点では昨年よりも使い勝手の良い補助事業だと言えます。

第10回公募は来月ごろには公募開始になるのではないでしょうか。新たに申請を検討されている方も過去の公募で不採択となり申請をあきらめた方も、2023年度の事業再構築補助金の要件を再確認されてみてはいかがでしょうか。

末筆ながら、申請のご相談がございましたらお気軽にお声がけください。

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